地方に住み、都心に出勤するからできること
都心での暮らしは便利で刺激的。人との出会いや、情報、物が溢れています。仕事も楽しいし続けたい。でも、ふと「これでいいのかな」と立ち止まりたくなる時がありませんか?自分のキャリアや子育て、家族にとって良い環境ってなんだろう……都会の便利で消費欲求を満たしてくれる暮らしを続けるのか、思い切って自然環境が豊かな田舎暮らしを始めるのか。人生の岐路に立つ大きな選択をするには、何か犠牲を伴わなければいけないのでしょうか?しかし、そこは柔軟性を持ってクリエイティブな精神を発揮すれば乗り越えられるのです。
今回は、品川から新幹線で40分(最短30分)の熱海を舞台に「都市型サーキュレーションライフ」の実践者や、地元の方々の交流を通じて、あなたの理想に叶うライフスタイルを考え、次のアクションに結びつけていきます。
都市型サーキュレーションライフとは?
IターンやUターンをして、地方で理想の暮らしを手に入れる生活が話題となって久しいですが、実は東京への人口流入は年々右肩上がり。仕事を求めて多くの人が地方から東京へやってきます。しかし大学から上京し、そのまま東京で就職した“王道組”の中には「東京に家を買って暮らし続ける」とか「東京で子供を育てる」という未来が想像できない人もいるのではないでしょうか。
東京には仕事がある、情報もある、そして多くの出会いがある。しかし、生活に根ざしたコミュニティや子供にとっての(大人にとっても)消費されない「遊び場」が少ない。その反面、地方はコミュニティや遊び場があっても仕事の選択肢が少ない。でも、仕事の楽しさを言いわけにして、地方と東京のメリットとデメリットを掲げているだけでは、きっと何も変わらない。
今の仕事を続けながら地方に住む「都市型サーキュレーションライフ」の実践者となることで、自分の人生で何に価値を置きたいのか、理想の未来がよりハッキリと描けるようになるでしょう。
実は「都市型サーキュレーションライフ」は会社員ほど向いています。「会社勤め=自由がない」と思いがちですが、反面、アドバンテージもある。
熱海から東京へ通うのに、毎月約8万5000円を個人で払うのはなかなか難しいですが、会社員であれば、交通費を全額とはならないまでも、6〜7割の負担をしてもらえる可能性は高いです。会社と膝を突き合わせて交通費の相談、交渉をすることで自分の「本気度」も確認できますし、会社が自分にどのくらい価値を感じているのかも実感することができるでしょう。
人生設計期間を意図的に設ける
これからますます働き方が多様化し、社会構造が大きく変わることが予測される中で、自らが実践者となり、さまざまな経験を積むことが自分の可能性を広げることに繋がります。
「次」を見つけるための連鎖を起こす。それはこの「循環」から生まれると思っています。その上で会社に勤め続けるという選択をするのもいいですし、新しくやりたい仕事を実践するのもよし。
何か別の仕事を立ち上げられる可能性は地方のほうが大きい。外側の視点をもって地方を見ると、意外な需要が見えたり、そこで自分のスキルが役立つことがあるからです。
東京ではお金で解決できても、地方では通用しないことも多いです。だからこそ難しさはありつつも、その事業やコミュニティに責任を持った関わり方ができます。
この講義のキュレーターを務める水野綾子さんは、現在2人のお子さんを育てながら3人目を出産予定です。現在は東京で編集やPRの仕事をしながら、実家のお寺を地域コミュニティのハブとなるようリデザインすることに取り組んでいます。東京で培ったセンスやコミュニケーション能力や人脈を、地域の課題解決に役立てていく。自分が持っている能力を住む地域に還元して、新しい活力を生むことが「都市型サーキュレーションライフ」の最大の面白さといえるのではないでしょうか。
夫婦で都市型サーキュレーションライフを実践している
キュレーターの水野綾子さんより
現在の仕事を続けながら実家のお寺を継ぐにあたり、家族で熱海へ移住したのが今年の4月。東京と物理的な距離感を保てることで、自分と向き合う時間も増え、精神的にも良いバランスを保てるようになりました。
とはいえ、夫は最初から熱海と東京を毎日新幹線通勤するライフスタイルにOKを出していたわけではありませんでした。「子供は東京以外で育てたい」という方針は同じでしたが、熱海から毎日東京に通うなんてムリ!と、当初平日は東京のワンルームで暮らし、週末熱海に通う「二拠点生活」をする、と言っていたのです。
ですが、東京でワンルームを借りる値段と、熱海からの交通費はさほど変わらない。子供たちは平日にパパに会えなくなるし、私も日々の暮らしを夫と共有できなくなる。夫だけ二拠点生活をすることに、何ひとつメリットを感じられなかったのです。
まずは一度やってみよう、だめだったらワンルームを借りたらいい。ということで始めた主人のサーキュレーションライフ。半年経ったいまでは(主人の頑張りが前提にあるのはもちろんですが)、時間に制限があることで効率を意識し、東京にいた頃よりも帰宅が早くなり、毎日趣味のDJを楽しみ、週末は子供たちと海に飛び出していく熱海ライフを満喫しています。講義の中で、夫をどのように説得したのかも披露しますのでお楽しみに。
(第1期募集開始日:2017年8月21日)