「自分の考えを、もっと自由に、おもしろく語れるようになりたい」
この講義は、話す立場にあるビジネスマンやクリエイターが、ユーモアとトーク技術を身につけられることを目指します。
「正しさ」より「おもしろさ」で人は動く
「仕事のできる切れ者」よりも「面白い人」に、わたしたちは惹かれるものです。ビジネスマン、クリエイターにとって、プレゼンや打ち合わせの場で話す機会は多くあります。リーダーや教師など「話す仕事」の人たちは毎日がしゃべりの連続ですよね。
スピーチ術と題するビジネス書でも「出だしはユーモアでつかむ」「5分に1回は笑いをとる」などとアドバイスされています。しかし、そもそも「ユーモアとは何か」「どうしたら笑いが取れるのか」。ここが難しいわけです。笑いでつかめれば、相手の心はオープンになる。こちらの変わった主張、新しい提案も受け入れられやすくなるでしょう。
ただ、そんなことはわかってるけど、「笑い」が一番難しいんですよ。感情を動かすにしても、「驚かせる」「感心させる」「悲しませる」「怖がらせる」などに比べて、圧倒的に難しいのが「笑わせる」こと。一番難しいけれど、一番みんなをハッピーにできるのも「笑い」です。だからこそ、自分のしゃべりによって笑いの波紋がどっと広がったあの瞬間のエクスタシーは、無上の喜びがありますよね。
「まぐれ当たりではなく、できれば高確率で笑いを生み出せるようになりたい」
しかし世のビジネススクールでは、ロジカルに説得するスキルは学べても「感情を動かす」部分、特に「笑い」を学べるクラスがなかなかありません。だったら自由大学で「笑いのスピーチ講義」をつくろうじゃないか。そんな動機から、この講義は生まれました。
海外フェス最優秀賞のコメディアンから学ぶ
「世界と対峙するマインドとトークスキル」
そこで教授としてお呼びしたのが、清水宏さんです。清水さんは、コメディアンで、日本スタンダップコメディ協会の会長。日本のお笑い芸人たちは、どうしても言葉の壁から世界に挑戦することを躊躇するなか、英語や現地語、そして身振り手振りを駆使して、マイク1本で世界中の舞台に立ち、観客を笑わせています。
世界で最も有名な演劇祭のひとつ「イギリス・エジンバラ・フリンジ・フェスティバル」にはたった一人で乗り込み、現地サイトより4つ星を得るなど、評価されている実力派。北米フリンジ・フェスティバルでは「最優秀外国人パフォーマー賞」を受賞しています。「世界で一番笑わない」と言われるロシア人を笑わせに現地のライブハウスに乗り込んだり、前人未到の挑戦をし続けたり。これは東京・銀座のライブハウスでの映像ですが、出だしから観客を巻き込み、意味なくHOTにさせているのがわかるでしょう。
清水宏さんのスタンダップコメディ@銀座TACT
マイク1本、しゃべりで道なき道を切り拓く「スタンダップコメディ」
今回の講義では、お笑いの表現方法の一つである「スタンダップコメディ」を身につけることを目指します。スタンダップ・コメディ(Stand-Up Comedy)とは、欧米で主流のコメディショーのこと。「たった一人でステージに立ち、マイク1本で笑いをとる」という極めてシンプルで自由な話芸です。
身の上話や時事ネタはもちろん、テレビなど公共の場ではタブーとされることの多い政治・経済・宗教・下ネタも遠慮なし。社会風刺や皮肉などを織り交ぜながら、ありとあらゆる事象を笑いにして斬りまくるのが基本的なスタイルです。「その視点はなかったわ!」と新たな考え方に納得させられたり、確信を突いた皮肉にニヤリとしたり。
日本のお笑い文化では「漫才」(ボケとツッコミ2人組スタイル)が主流ですが、欧米ではひとりで、自身の体験や皮肉などを交えながら、面白おかしく語る「スタンダップコメディ」が主力となっています。ハリウッド俳優ロビン・ウィリアムズ、エディ・マーフィー、ジム・キャリーなど、多くの個性派スターも「スタンダップコメディ」の舞台出身です。
頭脳、感性、身体表現… 総動員して、グワッと観客を揺さぶろう
笑いをとるためには、よく練られたスクリプト(台本、ネタ原稿)に加えて、演劇的な表現力も必要になります。頭脳、感性、身体表現、すべて駆使します。そして、準備したネタだけでなく、インプロビゼーション(即興)もできるようになった方が良い。インプロというテクニックは芝居の世界では必須だけど、「話す人」すべてに必要なテクニックでしょう。
プレゼンでも、自己紹介でも、急に質問されたことに即興で答えなければならない場面は多くあります。客層や設備によっても状況は変わりますし、場の空気やノリを読み、機転を利かせられるといい。
「どんな要素がそろえば、笑いを生み出せるのか」
その問いを、参加者みんなで探求していきましょう。教授の清水さんは、言葉だけでなく演劇的身体表現も使って、熱さで会場の空気を巻き込んでいくスタイルですが、ひとりひとり顔も声も発想もセンスも違います。個性が違えば、得意なスタイルもそれぞれ違うはず。
「笑い」というと、テンション高く流暢にしゃべる人が多いイメージがあるかもしれませんが、静かにしゃべるほうが、その人の個性が活きる場合もありえます。ひとりひとり、自分なりのトークスタイルを導き出して欲しいと思っています。
「スタンダップコメディ」の技術を学び、実際にトレーニングしよう。きっと普段のあなたのトーク力もひとつ上のレベルにアップデートされるに違いありません。
(第1期募集開始日:2019年5月28日)