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新講義の公開プレゼン「First Wednesday レクプラナイト」レポート(3月1日開催)

毎月第一水曜日開催 ワンテーマを探る誰でもウェルカムなイベント

今回もまさしく第一水曜日開催のFirst Wednesday、いつもの夜よりざわざわ感が少し密に集中している感じです。高い天井に声の反響も相まってコンテスト出場メンバーの緊張感が伝わります。と思えば、観覧スペースに集まった参加者のリラックス感も妙にアンマッチで。いろんなテンポの空気がまじりあっての不思議な感覚が永田町に広がります。

いつもの表参道から「みどり荘 永田町」へ舞台を移して、今晩のテーマは『レクチャープランニングコンテストナイト』。これまでの人生のなかで想いを深め、ひらめきを感じ、“Why/How/What”を繰り返し醸成した4名が「講義化したい!」というアイデアを発信します。世界を広めたい発表者とまだ知らない世界を知りたい参加者と、どんな交流が生まれるか、ワクワクの夜が始まります。

 

【4名のそれぞれの世界観】

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トップバッターを飾る茂木さんからは「海洋についての講義」、魚を食べて海の未来を考える講義の発表です。水族館勤務からフリーとなり、編集・放課後教室・水族館ナビゲーターなど多彩な顔で活躍する茂木さんの体中から海への愛情が感じられました。さばくのが難しそう、味が苦手、何かとネガティブな印象の魚をおいしく食することから始まり、(以外にも参加会場では魚をさばける人が多くて茂木さんも思わずびっくり!)自分たちが食する海産物がどの海からやってきているのかを探り、海の恵みのすぐそばで営みを繰り広げる漁師さんと交わり、知らない生き物がたくさん生活する海へと距離を近づけるアクティビティを実施する。茂木さんの言葉からは海や海洋生物への底知れぬ愛情が感じられました。子供のころ、海の生物を間近に見たときの感動体験がただただ彼女を突き動かしているように、楽しげなプレゼンテーションのなかにも、固い信念が垣間見えるあっという間の4分間でした。

 

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2番手の森田さんからは「伝統を活かした地域ビジネス創出」講義の発信です。テンポよく明快に、越前漆器工芸を主軸に技術修練のレベルの高さ、手業の仕事の難しさと手業の尊さを語りつつ、時代の動きに寄り添おうと模索する伝統工芸の現状が、生々しい言葉で語られました。講義を通して伝統工芸にかかわる人々を増やし、さらに工芸が生まれる現場や人とも交流を深め、「卓越した技」が時代をまさに生きる人々と混ざり合う環境を創出したい。ウェットでうちに向きがちな世界と時代とを心地いい関係性でマッチングさせ、職人が長年紡いできた伝統の歴史が途絶えないよう、生活に生かされてこその工芸を世に広めたい。森田さんからもまた、地域や人々がつないできた唯一無二のクラフトマンシップへの深い愛情や想いの強さを感じられました。そしてまた、「成功体験を積むことが大事」という、伝統工芸に携わる人々への温かい視線も言葉の端々ににじんでいました。

 

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続いて、会社員としての働き方に問題の着眼点をあてた高越さんからは「北欧から学ぶこれからのワークライフデザイン」の提言です。かつて誰かの期待に応えようという軸の中で働き悩みを抱えた高越さんは、フィンランドで過ごす1週間で自身の常識を覆すような生活スタイルを営む人々と、その生活から生まれる思考に衝撃を受けます。「決まった時間に仕事が終わらなかったらどうしよう、残業は?」、そんな言葉を投げかけても、フィンランドのおかあさんから返るのは「終わらなくたって帰るわよ」という言葉。その言葉のなかには、自分の望む生活をデザインする主体的な思考と責任が見えてきます。自分の生活ベースを俯瞰して眺めなおしてみると、案外私たちの生活のなかには見えない余白が点在しているのかもしれません。

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「大人の男装学」というちょっとドキっとするタイトルともに、ストライプのスーツ姿で颯爽と登場の石川さんがラストを飾ります。ファッションは単にトレンドに非ず、人への配慮であり、マナーであり、自分が「こうありたい」と願う自分への問いかけでありと、「イメージコンサルティング」の観点から自分の外観を整えていくワークや講義内容が提言されました。感性にとらわれがちなファッションでも実はロジカルなルールがあり、そこに沿って自分のワードローブを構築・設計するという考え方は非常に新鮮な印象で、会場の男性陣も自然と前のめりな姿勢で話に聞き入っているようでした。また、自分像を明確に持つには「自分とは何者か」ひたすら内省し、自分軸を醸成するキーにもなります。外見にフォーカスを当てつつも、実は非常に内面を研磨する学びを想像させられました。

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【終わらない問いの先にある生き方】

4分間で語られた想いは4名それぞれのスタイルで、それぞれの問題定義で永田町会場の地下の空気を一気に上昇させました。大接戦のなか、今回優勝したのは1番手の茂木さん、決め手は発信者の中で随一の発信対象への愛情でした。もちろんここで終わらないのが自由大学のFirst Wednesday。発表者の周りには知的好奇心を掻き立てられた参加者からの質問が飛び交います。一人のひらめきをきっかけに講義アイデアがうまれ、発信の場を得ることで多くの人たちに感染する。自らの思考と体を使った、まさにクラフトなアクションが広がりを見せる瞬間が、レクチャープランニングコンテストにたくさん散りばめられていました。

自由大学が掲げる『大きく学び、自由に生きる』というテーマ。とある事象を、あらゆる切り口から吟味し咀嚼するなかで、まったく新しい世界に出会ったり、あるいは自分が産み出すクリエイティビティを実践し、それを深め広げていくこと。このレクチャープランニングコンテストにはまさしくそうした自由大学の世界観が繰り広げられ、個人的に感慨深くもなりました。

次回のFirst Wednesdayはどんな学びが繰り広げられるのでしょう。出会い・別れがめぐり、新しいスタートも広がる春の季節、知的好奇心を満たしに、ぜひ自由大学に遊びに来てください。

(Text:八児美也子 Photo:下防さおり)



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