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第2回「First Wednesday」レポート(2月3日開催)

毎月第一水曜日開催 ワンテーマを探る誰でもウェルカムなイベント

2016年から、自由大学では毎月第一水曜日に「1st Wednesday」というイベントを開催することになりました。誰でも参加自由で、毎回ひとつのテーマをゲストスピーカーと一緒に探っていきます。

2回目のテーマは「BOOKナイト本の未来はどうなる?」。ゲストトークの第一部に続き、第二部ではブック・エクスチェンジも開催。自由大学Facebookページでのイベント告知に参加申請をしてくれた60名近くの方々が集まりました。

今回のゲストスピーカーには、クラウドファンディングを使った出版プロジェクトを手がけた南木隆助さん(和菓子職人・水上力さんのブランドブック『IKKOAN』企画編集)と清田直博さん&小柴美保さん(働くとは何かを考える本『WE WORK HERE』企画編集チーム)そして黒崎輝男さん(『出版社をつくろう』教授/自由大学ファウンダー)そして司会は深井次郎さん(自由大学『自分の本をつくる方法』教授/ORDINARY 発行人 / エッセイスト)が登場。

大手出版社や流通の仕組みが主流だった出版も不況といわれて久しく、新しいあり方が模索されています。そんな中、一個人が既存の仕組みに頼らずに心意気のある本を出し、広く支持者を得ていく、という動きが起こっています。今はまだ小さな動きですが、これはやがて大きなムーブメントになるかもしれない。本を出すことで世の中を変える、経済や社会の在り方が変わるとしたら、面白くなるぞ。ということで、自由大学で本づくりの人気講座をもつ深井次郎さんの司会の元、個人や少人数のチームによる出版の可能性について、本づくりの最前線で活動するゲストが語らいました。

ずっと残るものだから、本をつくりたかったんです。
ゲストのお一人南木さんは、和菓子店「一幸庵」店主の水上力 さんが作るお菓子の魅力を伝えたい一心で3か国語による和菓子の本「IKKOAN」を出版されました。

「周囲の協力で本は完成したものの印刷代がない。美術書の出版社にも持ち込みましたが全滅でした。それならクラウドファウンディングかと。資金調達も目的だったけれど、一人で頑張るのは限界だと思っていたし、『和菓子の魅力を伝える本を出したい』という気持ちに共感し、一緒に作ってくれる仲間が集まったことの方が嬉しかったですね。」既存の出版ルートに頼らず印刷にこぎつけた本は口コミから広がりネットなどで話題に。最初の1000冊に加えもう1000冊の増刷も決まっているそうです。

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本をつくりながら、新しい仕事をつくっていく感覚で取り組みました。
清田直博さん小柴美保さんは、シェアオフィス「みどり荘」を拠点として、やはり出版社に頼らない本『WE WORK HERE』の企画編集を進めるチーム。自分たちの活動を世の中に問い、表現したいことを表現する試みのためにインディペンデントな立場を選んだそう。

「他人の仕事っていうのはブラックボックスで、誰がどんなことをやっているのか、シェアオフィスの中にいても、詳しくはわかりません。好きな事を仕事にして生活しているみどり荘の仲間のインタビューを本にまとめることで、大きな組織に寄りかからない新しい働き方を提案する仕事の本を作ろうとしています。」クラウドファウンディングや周囲の協賛から印刷資金を集め、後は自力で企画編集作業を進める中、協力してくれた人には、本の売り上げから報酬を支払うということも。

「本を出すというプロジェクトが仕事を生む、これにも可能性を感じています。さらに新しい試みとして、クラウドファウンディングの特典に編集のワークに参加できるという特典を設定しました。編集に興味はあったけれど、これまで関わったことのない人が、未経験の仕事体験に対してお金を払うということです。」

これからの本は「偏愛」から生まれる。
本物の情報を濃厚に伝えようとする本であれば、欲しい読者は確実にいる。
自由大学ファウンダーの黒崎さんからはこんな主張が。「クラウドファンディングは単なる資金集めの手段ではない。本当の目的は、自分が情熱をもって心意気をもってやりたいと思うことに賛同する人間、支持者を集めることです。世の中は変わってきている。社会のために必要だと思えるプロジェクトなら費用はあまり関係なく実現します。既存の考え方にとらわれている人には、市場がないとか、売れないとか批判するかもしれませんが、やってみたら予想外にうまくいって、数字でも結果が出るのは痛快なことですね。もちろん本を作りたいという情熱だけではなく、「IKOOAN」のように内容があり美意識も伴っていることは大前提ですが。」「世の中に必要な本をだそう。個人も出版社も関係なく本を出す。自由大学からそういう出版の方法にチャレンジして、次の社会への流れを作ろう、やってしまおうということです。」黒崎さんが語る本の未来に寄せる期待感の中、第一部のトークプログラムを閉じました。

第二部は会場に集まった本好き参加者によるブックエクスチェンジ。ヴァレンタインが近い2月ということでテーマは「愛。」それぞれのとっておきの本を小グループでプレゼンする本の相互紹介イベントです。愛の本は思い思い、童話から小説、詩集、哲学書とジャンルは様々です。短い時間でしたが、みなさん熱を込めて本について語り、寒風の中、閉会した後も熱気のある交流が続いていました。                                        (レポート:モトカワマリコ ORDINARY

 

次回は3月2日。「Switch3.11 “あの日”から人生が変わった」をテーマに、人生の“スイッチ”について考えていきます。みなさんはこの5年の間で、どう変化しましたか?(詳細:https://www.facebook.com/events/184211438608946/



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