自由大学祭2013実行委員の岩井謙介です。自由大学祭のメイン会場、トークライブ後半戦のテーマは「これからの学びとは?」。その模様をレポートします。
自由大学のコンセプトでもある、学びたい人が集まり、詳しい人を呼んできてギルド的な”学び”という原点から、そもそもの学びの歴史、世界の学び、そしてこれからの学びについて、下記3名によるトークセッションが行われました。
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●セッションプレイヤー
黒崎輝男さん(自由大学 ファウンダー)
小柴美保さん(Mirai Institute/みどり荘)
小出一富さん(「ファンタスティック古事記」「ワールド宗教学」教授)
●司会/和泉里佳さん(自由大学 学長)
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地縁がきっかけで出来た大学
まずは、そもそもの世界でみた時に、大学の起源はいつごろだったのでしょう?これについて宗教考古学者の小出さんが語ります。「12世紀のころに2つの大学が出来ます。それはパリ大学とボローニャ大学です。パリ大学はノートルダム大聖教が強いので哲学や神学が発達し、ボローニャは都市が発達していたため、俗学・ローマ時代に発達した7つのリベラルアーツへの回帰が起こりました。2つの大学の共通点は、”地縁”であり”人種の坩堝”なのです。」
これを受け、自由大学のファウンダーの黒崎さんは、実際にボローニャの現地に行きのその時のインスピレーションについて語ります。「スクールの語源はラテン語のschola(=暇)からきている。お金も出来て暇も出来てくると自分の周りで起こっていることの何か知りたくなって、その有識者を呼んで学び始めていったのだろう。」働いてお金もあるから自分の知的好奇心を満たすために、自ら学んでいく。今の自由大学のようだと会場も盛り上がります。
問いから始まる学び
高校時代に英国のunited world collegeに留学していた小柴さんがその当時の世界の学びについて語ります。「小出さんがおっしゃるように、まさに人種の坩堝なんです。そこでは、課題の出し方がとてもユニークでした。例えば『どうして、第二次世界大戦が起こったのかまとめなさい。』といった答えが一つではない”問い”から始まる学び方にカルチャーショックを感じました。」
“問い”から始まる学びについて黒崎さんが愛犬シュガーちゃんを引き合いに話を進めます。「決められた答えや暗記をして答えて学んで行くことは、本来の学びのスタイルじゃない。例えば、犬(黒崎さんが連れていた犬のシュガーちゃん)からだって学ぶことだってできるはずです。」
東洋と西洋の褒められる学びの違い
では、なぜ日本の今の学びと世界(西洋)の学びに違いが出てきているのか?これについて、歴史から小出さんが紐解きます。「東洋では紙があったことで、先生が言ったこと文字にし、それを如何に暗記出来るかが重要視され、西洋では、紙が無かったので弁論術がとても進みました。なので、東洋ではinputが評価され、西洋ではoutputが評価される違いが出てきました。」
その言葉を受け。小柴さんは留学中の授業を思い出します。「確かにくだらない質問をしても先生はその質問を拾ってくれました。その質問の裏に何があるのかに興味があるようでした。」質問自体に本質は無く、その質問の裏にかくれている部分に学びがあるのでは無いか? という疑問で会場が包まれます。
良い問題を設定する人が一番偉い
『質問すること、良い問いを投げかけることが良い学びに繋がる』という話を受け、自由大学のファウンダーの黒崎さんが今の学びとこれからの学びについて続けます。「今の学校では、くだならいクイズ番組みたいに、答えを早く出してたくさん正解した人が偉いみたいになっている。けれど、そうではなくて、良い問題を設定した人が一番偉い。なぜなら良い問題を出すと次にまた良い問題を引き出すこともできる。だから問題が何かというコトが一番問題で、それは自由大学にとっては大きな問題なのだと思う。人生にも正しい答えが無いのだから、どんなコトからも自由に学んでしまおう、自由に問うってみようという姿勢がこれからは大事になってくる。」
好い加減の学びをしていこう
自分の興味のある好きな学びを自由にやっていく。この言葉を受けて自由大学のファウンダーの黒崎さんが最後の問いかけをします。「何が好き勝手か分からないから、その学びは自由では無いんだと思う。何をもって好きなのか。それは好きなことを制限されるのに馴れすぎてしまった現代において、自己を振り返って何をもって好きなのか、興味があるのかをもう一度考える機会、必要があるんじゃないかと思う。特に勝手の範囲ですね。問題は。」
自由に学んでいくことは、好き勝手学んで行くことなのか?小出さんが続きます。「勝手とは元々は”勝手口”などといった使い方をするように”日常”を表すものなんです。だから好き勝手に学んでいくことは”日常的に学んでいく”ことなんじゃないかなと思います。」好い頃合い、好い加減で日常に学びを入れていく。そんなこれからの”学ぶ”姿勢について考えられるトークセッションでした。
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