ピープル

サカイ優佳子+田平恵美

サカイ優佳子+田平恵美

DRYandPEACE、食の探偵団 主宰

「(社)DRYandPEACE」、「食の探偵団」主宰『おいしく楽しく食べ続ける』をキーワードに、02年より五感を重視した食育ワークショップ「食の探偵団」を全国各地で開催。また、田んぼを残したいという思いから07年より米粉レシピの開発に力を入れる。

11年に『乾物は未来食、乾物を作り食べることで、よりPEACEな世界へ!』をテーマに、乾物の新しい魅力や可能性を広める「DRYandPEACE」プロジェクトを立ち上げる。乾物をヨーグルトでもどす、など今までにない発想の乾物料理の提案など、現代のライフスタイルにあった乾物レシピ開発、料理教室、講演、執筆、イベントプロデュース等展開中。

 

著書

「からだイキイキ!簡単でおいしい」

「ヨーグルトでもどす魔法の乾物レシピ」(主婦の友)

「乾物Every Day」(コモンズ)

「米粉ランチ」(農文協)

「米粉食堂へようこそ」(コモンズ)

「いそがしママの楽しい食卓レシピ」(サンマーク出版)

「感じる食育 楽しい食育」(コモンズ)

「世界の料理(ポプラディア情報館)」(ポプラ社)、他

 

メッセージ
震災前から、「乾物」の可能性について、なんとなく考えていたのですが、震災を経て、冷蔵庫がなくても長く保存ができ、また、製造過程においても本来は電気を使うことなく作ることができる「乾物」をもっと見直してもいいのではないかと強く思うようになりました。

「乾物」というと、切干し大根や高野豆腐などにイメージが限定されてしまいがちですが、パスタも、お茶も、スパイス類も、豆も、そして米だって、太陽と風の力で乾燥させた「DRY食材」という意味では、同じ仲間です。そう考えると、私たちの周りには思っている以上に多くの「乾物(≒DRY食材)」があり、意識しないなかでも日々食しています。

乾燥させていることで軽く、運搬にも便利であること、電気を使わずに作り、保存ができること、生だとつい無駄になってしまいがちだった食材を、乾燥させることで長持ちさせ、無駄にせずにすむかもしれないこと、もしかしたら地方におけるスモールビジネスになる可能性があること、干すことでアップする栄養もあること(干し椎茸のビタミンDが好例)、独特の食感や味わいが生まれること、さらには、飽食の社会であまっている食べものを飢餓の地域に届けることができるかもしれないこと、など、「乾物」にはさまざまな利点があります。一方で、受け継がれてきた知識や技術が失われつつあるケースもまた見られるのが残念でもあります。

調べていくうちに、たとえばペルーとアイヌとで同じようなDRY食材(乾燥じゃがいも)の文化があったり、日本の鰹節にそっくりなものがモルディブにありモルディブやスリランカでは欠かせない食材であったり、ある果物のDRY食材で魚を煮ると、その酸味のおかげで常温で2~3年もその料理がもつ事実があったり、と、私たち自身、目から鱗の発見が多々ありました。食文化的にも非常に興味があります。

より多くの人が、「乾物(≒DRY食材)」の価値に気づき、その味わいや食感を楽しみながら、食べものの無駄を少なくし、食の不均衡や地方の産業のあり方などに目をむけ、なんらかの行動につなげていくことができたらうれしい!そんな思いで、みなさんと一緒に講義を進めていきたいと思っています。

私たちは、世界のさまざまな地域や日本各地の「乾物(≒DRY食材)」の情報を発信していこうと、「一般社団法人 DRYandPEACE」を立ち上げました。乾物の知識、技術、簡単な使い方、おいしい食べ方などを紹介するほか、DRYなFOODでDRYなLANDを潤す「乾物ドライカレーパンプロジェクト」を進行中です。

乾物の味わいや食感を広く楽しみながら、乾物から広がるPEACEな世界に目をむけ、なんらかの行動につなげていくことができたらうれしい!そんな思いで、みなさんと一緒に講義を進めていきたいと思っています。

・「深くて美味しい」という”PEACE”
乾物の世界は広く深く、おいしい! 和食だけでなく、様々な料理にツカエル食材!

・「常温保存ができる」という”PEACE”
冷蔵庫がなくても長期保存がきくので、いざというときの備えにも。ちょこちょこ使いながらの備蓄が可能。電気に頼りすぎない生活も意識。

・「乾燥して軽い」という”PEACE”
軽いので輸送時のCO2の削減も。普段の買い物もラクラク。冷蔵庫もいらず、軽くて栄養豊かな乾物なら、飢えている人に食べものを届けることだってできるかも。

・「無駄なし、ゴミなし」という”PEACE”
乾物は、皮をむく、切るなどの下処理がしてあるので、台所でゴミが出ないのも嬉しいポイント。使いたい分量だけ使って残りは保存がきくので無駄が出にくい。

・「地域に雇用を生むかも」という”PEACE”
捨てられていた野菜や果物も乾燥させれば新たな価値が。地域にミニビジネスが生まれる可能性も。