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西川栄二

西川栄二

放送作家 / お笑い作家 / 人力舎の「スクールJCA」元・校長

1962年生まれ。東京都出身。立教大学卒業後、池袋の東武百貨店に6年間勤務。本音も語れない販売員生活に閉塞感を感じ、30歳でお笑いの世界へ。のちに校長をつとめることになる人力舎のお笑い学校「スクールJCA」に第1期生として入学し「お笑いコミュニケーションメソッド」を研究する。

放送作家としてデビューし、数々のテレビ、ラジオ番組に関わる傍ら、JCA講師として20年で1500人以上の芸人志望者に指導し、2014年には校長に就任。様々な笑いのノウハウを開発し、学校の底上げに成功。期待の若手芸人を数多く輩出した。JCAは、アンジャッシュ、東京03、アンタッチャブル、ドランクドラゴンなど多くの人気タレントを輩出している養成機関。

またお笑い学校で指導にあたる傍ら、フリーの放送作家として「テリーとたい平のってけラジオ」「笑福亭鶴光の噂のゴールデンアワー」「長渕剛のオールナイトニッポン」「ロンドンブーツ1号2号のオールナイトニッポン」など、様々な番組を担当。

現在も、多くのレギュラー番組の構成を手がけている。またベテランから若手まで、様々な芸人のネタを作ったり、戦略を手がけることも。2019年には、著書『笑いの作り方』を出版した。

<教授メッセージ>

 

笑いのメソッドを、芸人だけのものにしておくのはもったいない

会社員は大変です。仕事中は私語を慎み、真面目に働くことが求められますが、上司との飲み会や取引先の商談などでは、突然面白い人であることが求められます。

でも面白いかどうかなんて、採用試験にはなかったし、新入社員研修でも教わっていないはず。「忘年会で一発ギャグをやれ」なんて、無茶ぶりもいいところなのです。

僕もサラリーマン時代は、与えられた仕事をこなすことが多く、人事評価も「減点法」で考えていました。「失敗しちゃいけない」「余計なことは言わない方がいい」そんな思考です。

しかし30歳を目前にアテもないまま退職し、お笑いの世界に足を踏み入れると、ありとあらゆる価値観が会社員時代と逆転。カルチャーショックを受けました。

「発言してこそナンボ」「失敗は全てネタになる」「建前ではなく本音を語ることが大事」「皆と違う自分だけの個性を作らねば駄目」まさに「加点法」の思考です。加点法ならば、サービス精神を発揮すればするほど、良いことがあるというわけです。

それで気がついたのは、「会社員時代も加点法の言動をしていたら、もっと楽しく、もっと役に立てたのに…」ということでした。しかも時代は、どんどん発信力や個性のある人を求めるようになってきています。

サービス精神を発揮すれば、人との出会いが増え、会話が楽しくなり、仕事や友人にも恵まれます。そしてテリー伊藤さんを始め、忙しいタレントの方達の印象にも残ります。さらに本音のコミュニケーションを心がけることで、笑えるエピソードも増えて、ちょっとは賢くもなりました。

このような体験を後進に伝えるべく、スクールJCAで20年にわたって講師を務め、その後、校長となり、「意識を変えることの必要性」、さらに「理詰めで笑いに取り組むことの重要性」を繰り返し伝えてきました。今、有望な若手芸人も生まれています。そしてお笑いの教科書が無いことに疑問を抱き、2019年には『笑いの作り方』という本を出しました。

もちろんこのコミュニケーションメソッドは、芸人や芸人の卵だけでなく、ビジネスパーソン、クリエイター、すべての方々が活用できると思います。多くの人がこうしたノウハウを身につけ、楽しい時間の作り手となり、笑顔が溢れるコミュニケーションがあちこちで繰り広げられることを願っています。



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