この講義では、個人レベルではじめられて、自分の時間・健康とマネーの交換ではなく、やればやるほど「仲間」と「技」が育つ仕事をナリワイ(生業) と呼びます。
組織ではなく「個人に帰属するナリワイをまずは3つ以上持つこと」を目指すための講義です。生業をうまく組み合わせて頭と身体、オンラインとオフライン、さまざまな要素でのバランスを一緒に組み立てましょう。
教授、伊藤洋志さんより
「仕事も、ほしい物も、自分でつくるのは面白い」
2015年以来なかなか時間が取れず講義をしておりませんでしたが、世の中のペースも落ち着き、金融緩和による騒乱も落ち着きそうな時節になってきました。ツールの面でオンライン配信での講義も簡単になってきたので開講してみることにしました。
また、平日昼間の開催にしました。仕事の変わり目とか学校が始まらずに少し時間ができた方など少数精鋭のご参加お待ちしております。
みかんを収穫する教授の伊藤さん
ポストグローバリゼーション時代の滋味溢れる働き方
非バトルタイプのためのゆるやかな作戦
大正9年の国勢調査で国民から申告された職業は約3万5000種、現在の厚生労働省の「日本標準職業分類」によれば、いまや2167職種。わずか 80年程度前にははるかに多様な職業の種類があり、職の多様性も高かったわけです。また、江戸時代以前のいわゆる百姓はひたすら農業だけをしているイメージですが、実はかなりの人が兼業でいくつかの生業を持っていたことも分かってきています。
そんな多様性をぶち壊して「株式会社日本」は戦後に業種を絞り込むことで急成長しました。それが高度経済成長です。
21世紀初頭の現代、絞り込んだ産業は曲がり角を迎えました。コミュニケーション能力すら資本に還元され、仕事の多様性を失った私たちはどこへ行こうというのでしょうか。
ところで、残念なことですが、これまでの人生で知人友人の中で「うつ」になる人や過労で倒れる人が10人以上出てしまいました。その一方で、ゴミは増える一方。もう作るべきものなんてないのでは?と思うほどです。おかしいな?こんなに忙しいの、なんでだろう?と思わずにはいられません。
この矛盾の原因の一つは専業化だと思います、1つの仕事だけをやらなければならない、という考え方だとどうしても競争が激しくなったり、村八分やパワハラからの避難を難しくしてもいます。また、一つでは生計を建てるのが難しい仕事を無理やり大きくしなければならず過酷な環境になりがちです。
これらを解決する方向性は、これまでいくつか提唱されてきています。それは、藤村靖之氏が提唱する「月3万円の仕事を10個作る」であったり、宮本常一氏(「生業の歴史」など)が調査していたような複数の仕事を持つ農村の生活などでしょう。
現在、欧州で比較的堅調な社会を維持しているドイツでは十数年前までは約1割の企業が雇用者の約90%を雇っていましたが、今では65%程度になり、自営業が増えているそうです。ドイツの哲学者ハンス・イムラー氏(「経済学は自然をどうとらえてきたか」など)も、これからは新しい形の家族経営体(U2)こそが、グローバル化した社会において大きな可能性があるだろうと述べています。
すなわち、これからの仕事は、働くほど「仲間」が育ち、「生活」が充実し、心身ともに健康になる仕事でなければいけません。時折ネット広告に出てくる楽して月100万円儲かる仕事はバラ色そうですが、そういう仕事は詐欺まがいか熾烈な競争に巻き込まれるかのどちらかが大半です。騙し合いの世界やグローバル社会で全世界を相手にした殴り合いの競争をして健康が実現できるのはかなりのバトルタイプ(戦闘型)です。
ナリワイの一つ「モンゴル武者修行ツアー」にて
DIY・複業・お裾分けを駆使した「ナリワイ」で、現代社会を痛快に生きる
この講座は、殴り合いをしたくない人が、矛盾なく働く方法論を学ぶ講座です。「恐竜ビジネスモデル」から「微生物ビジネスモデル」への転換を図ろうというものです。
起業と言うと、大きな仕掛けやシステムが必要になってきます。そうではなくて、具体的なナリワイのタネを見つけ、対価を設定し、価値観の合う人と交換を成立させて仕事として機能させていくことを目指します。
また、無駄な支出を抑え、適量を把握すること重要です。といってもただの節約術ではさびしいものがあります。支出も減るうえに、より充実した生活ができるような方法についても学びます。トレードオフなんてけちくさい。
このオンライン講義ではナリワイつくることを目標に、みなさんと一緒に行っていきたいと思っています。
(オンライン第1期募集開始日:2020年7月1日)