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2012年4~5月に行った復興クラブの体験プログラム。3回にわたってその模様をレポートします。第3回目は「荒浜地域キャンププログラム~GW編~」に参加した藤原滋さんがレポートしてくれました。



最も印象に残ったこと。現地の人たちはしっかり前を向いて歩んでいる。
2012年のGW後半、ちょうど狙われたかのような悪天候で始まったこのキャンプでした。あの大震災から1年以上が過ぎ、やっと現地で復興の手伝いができると意気込んでいましたが、そんな気持ちを簡単に打ち砕いてしまいそうな豪雨でした。しかし、何とか参加予定メンバーも全員集合して、いざ若林キャンパスへ。


仙台にある若林キャンパス。荒浜地区の遠藤さん宅の離れをお借りして、講義ならびに食事をします。参加メンバーは知り合ってまだ1時間程でしたが、キャンプリーダーの大内さん、清野さんがうまくみんなが交流できるようお膳立てしてくれたのですぐに打ち解けました。
遠藤さん宅から海まではおよそ2km。海沿いが肉眼でも見える距離なので津波が一帯を覆い尽くしたことは言うまでもありません。キャンパス周辺の様子を見に出かけましたが、茫然というか唖然というか、うまく言い表す言葉が見つかりませんでした。とにかく直感的に津波の恐ろしさが伝わってきました。
数多くの家々が津波に襲われたまま手つかずの状態、または修理している途中。海辺の防風林は、元々切れ目が見えないくらいびっしり並んでいたものの、多くが抜け流されてしまい、残った木々は幹が陸地に向かって大きくしなっていました。
海辺に近い家々はところどころが基礎部分さえも剥ぎ取られていました。
海岸沿いにある荒浜小学校。約10m程の高さに相当する3階まで津波で浸水したということです。体育館は津波で全てが覆われてしまい損傷がひどく、校庭には数多くの原形をともなわないバイクや農機具が主を失ったまま学校の敷地内に放置されています。目に入ってくる光景すべてが私たちの想像を超えていて、正直どう処理していいのか分かりませんでした。景色の向こうに苦しんだ人たちの想いまでが見えた気がしました。
しかし、何もかもが悲観的な状態にあったのですが、ずっと何か違和感のようなものを覚えていました。もちろんあれだけの災害に遭ったのですから、私たちには分かり得ない苦しみや悲しみが現地の人たちを覆い尽くしているのは間違いないことです。でもそういった感じはあまりなく、むしろ明日への希望のようなものが感じられたと言ってもいいと思っています。
キャンプの講義で、大内さんの旧友である宮城県商工会議連合会の野村さんや菅原さんからお話を伺ったのですが、お二人の話にも今後に向かっての意志を強く感じました。
震災から1年余り。最悪の状態から少しずつ良くなっているけれども、その分現実を直視せざるを得ない課題が山積みだといいます。すべてが手探りで進めなければならないということでその苦労は計り知れません。しかし決して否定的ではなく、こんな時だからこそ丁寧に粘り強く対応するといった、人々に秘められた力を信じるという話に感動さえ覚えました。
遠藤さんとそのご家族と話す機会もありましたが、震災時のことは既に一つの出来事として扱っているという感じさえあり、そこを乗り越え、次の局面に進んでいるという印象を強く受けました。被災地から離れて生活する私たちが到底知ることができないことに”直接”触れるということ。何かを媒介して得られる情報と違うということは分かっていましたが、実際の違いはとても大きな違いだということがわかりました。
彼らは、自分たちは被災に遭ったという事実を受け入れています。受け入れた上で一歩ずつ前に歩んでいます。直接被害を受けていない私たちが思っているよりもずっと前を。物事を受け入れるということは、実はすごく大変なことです。たった2日間の滞在でさえ震災と向き合う彼らの力強さを感じずにいられませんでした。
「自分はどうなんだ?」
今回のキャンプを終えて頭に浮かんだことがこれでした。
今の自分は自分ときちんと向き合っているのか?
しっかり現状を受け入れて、毎日をより良く過ごすために努力をしているのか?
これから先、自分がどうアクションを起こしていくか。それが自ずと答えになるのだと思います。キャンプで得たたくさんのことを次の行動に活かすことが、現地に訪問した者としてやらなければならないことなのだと自覚することができたとても良い機会でした。被災地のために何か役に立ちたいと少しでも考えている人は、何はともあれとにかく1度行くことを強くお勧めします。


▼復興クラブ「荒浜地域キャンププログラム」参加者募集中
7/14(土)~7/16(月・祝)
7/14 13:00現地集合(12:30受付開始)
7/16 12:30現地解散予定
※1日のみ、2日のみの参加も可能。
※キャンプの詳細・お申込みはコチラこちらからどうぞ。


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