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「種を蒔く」ということ

2012年4~5月に行った復興クラブの体験プログラム。3回にわたってその模様をレポートします。第1回目は「お米づくりサポートプログラム~種まき編~」に参加した藤田篤さんがレポートしてくれました。



仙台市若林区にある遠藤農園さんが今年から再開する米作り。その第一歩である「稲の種蒔き」のお手伝いをしてきました。東京から夜行バスで仙台駅まで向かい、市営バスと徒歩で自由大学若林キャンパスへ。すでに作業が始まっていたので、遠藤さんご家族にご挨拶をし、すぐに種まきのお手伝いがスタート。
僕は農作業の経験がほとんどなく、稲作といえば田植えから始まるといったイメージを持っていました。稲作も種蒔きから始まるという当然のこともよくわからないままお米を食べていた自分に、少し恥ずかしさを感じながら作業に取り掛かりました。


種蒔きは播種機(はしゅき)という機械を使って行われました。稲苗を育てるためのパレットに播種機で土と種モミ(お米)と水をかけて苗床を作ります。できあがった苗床を一輪車へ載せてビニールハウスへ運んだのですが、以前はフォークリフトで運んでいたそうです。しかし、津波の被害で作業機械が使えなくなってしまったため、今回は人力で運ぶしかありません。

今回は4種類の品種、合計1200枚の苗床を作って並べていくことに。遠藤さんはじめ現地の方々と復興クラブ参加メンバーの計8名で一斉に作業を行いました。蒔いた種はそれぞれ稲に生長し、品種によって違いはありますが、稲一本につき約100粒の種(米)が取れるとのこと。意外と知らない植物の生育に触れることができました。
作業の合間にみんな食べたカレーライスは、遠藤さんのお母さんの手作りです。畑で採れたばかりの野菜を使ったサラダと一緒に、とても美味しく贅沢な昼食時間を過ごせました。

遠藤農園さんにあるビニールハウスでは、稲の育苗以外に、トマトやレタスなどを育てているものもあります。野菜用のハウスも見学させていただき、遠藤さんから直接説明をしてもらいました、スーパーで並んでいる野菜、日頃何気なく口にしている野菜たち。その先にはその野菜を育てている生産者の姿があるのだと実感することができたと思います。
今まで僕が持っていた「農業」のイメージ。それは、「自給自足」「土に触れる野菜を育てることを楽しむ」ということ。しかし実際の仕事として農業を続けていくには、品質や工程の管理など簡単ではない作業が必要になってきます。生産者の方々の働く姿を目の当たりにして、野菜を買うときや食べるときに見る視点が変わってきた気がします。
種まき作業の後には、荒浜の海岸まで足をのばしてみました。一年たった今でも津波の被害の凄まじさを直に感じ、荒れ果てた田畑の多さからも、荒浜全体の復興にはまだまだ時間がかかるものだと思いました。

2日目は畑作業も体験。去年の「キャンプin仙台」で収穫していなかった白菜や小松菜が、文字通り”菜の花”になっていたたので、それを収穫するなど、貴重な体験ができた2日間でした。

今回出会った遠藤農園のみなさんは、東京から来た僕たちを親切に迎え入れて下さいました。仙台に来る前には、現地の方とどのように接したらいいかな?と少し不安に思っていたところがありましたが、そんな心配は不要でした。
教えていただいたことの大半は、遠藤さん自らの言葉で僕たちに話していただいたことです。初めてお会いするのに最初から気さくに話をしていただいたことが、本当に嬉しかったです。そして、震災の影響などを気にさせることなく、未来を見据えて生活をしている力強いみなさんの姿を見れたことが、僕の一番の収穫となりました。



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