ストーリーテリングとは?
ヨーゼフ・ボイスの若手アーティストに向けられた「あなたが見た最初の光景を覚えていますか?」という問いから、ストーリーテリングを様々な学問の切り口から考えてゆきます。
問:「あなたが見た最初の光景を覚えていますか?」
【2日間集中講義】人を巻き込み感動させるヒミツ
私たちはなぜ物語に惹かれるのでしょう?
日々受け取る様々な情報の中で、長い間記憶に留められたり、強く印象づけられて思わず人に話したくなるものには、何かしらの物語性が潜んでいます。それは物語の構造が私たちの無意識と直接関係しており、それが私と他者の話す言語や、その礎になる神話に結びついているからだ、と本講義の教授である渡辺真也さんは語ります。
この講義は、「あなたが見た最初の光景を覚えていますか?」という芸術家ヨーゼフ・ボイスから若手アーティストに向けられた問いから始まり、神話、哲学、言語学、宗教学、アート等の様々な視点から、私と他者の関わりについて思考実験を行いながらストーリーを紡いでいきます。人間特有の集合的無意識を掘り起こし、分断されているものを抽象的な力をもって繋ぐ。今までの自分に向き合いながら、
なぜ今「ストーリーテリング」が必要なのか?
「ストーリーテリング」を織物に例えると、縦糸があなたの時間軸、横糸があなたが出会う人や場所です。縦糸と横糸が交錯し、気持ちが織りなす様があなただけの模様となって浮かび上がってくるのです。
潜在的無意識を通した日常に纏わる様々なモノゴトがこの「ストーリーテリング」を通して大きな変化をもたらすのではないか。今、何かを成し遂げようとしている人への次の一歩に繋がる手がかりがこの講義にはあります。
事前に読む又は観てきてもらいたいもの
・書籍又は映画:カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/310051.html
今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ著の『わたしを離さないで』は、私と社会との関わり、そして私と他者との理解の可能性について、シンプルかつ美しい言葉で綴った小説です。この本を課題図書とすることで、私と社会、そして他者との関わりを一つの物語にする方法を皆さんと一緒に考えて行きたいと思います。
・國分功一郎『中動態の世界』
http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=87748
第4回のゲストとして國分功一郎さんをお招きするので、こちらを事前に読んでおいてください。
推薦書
・ヴァルター・ベンヤミンの『物語作者』
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480082565/
映画「Soul Odyssey – ユーラシアを探して」
教授、渡辺真也さんについて
日米の大学で経済学を、ニューヨーク大学大学院にて美術を学んだ後、現代美術のキュレーターとして世界各地で展覧会のキュレーションを行いました。31歳から渡独してベルリン芸術大学にて博士論文を執筆後に映画監督になった渡辺さんは、キュレーションの文脈形成と映画のストーリーテリングの類似性に気がつき、初監督した映画「Soul Odyssey – ユーラシアを探して」では、ユーラシア大陸横断中に発見した白鳥伝説を、神話の構造として有名な「英雄の旅」を用いてナレーションすることにより、インドネシア国際人権映画祭にて国際優秀賞とストーリー賞を受賞しました。
先日、クリス・マルケル監督の沖縄戦をテーマにした映画「
第1回
ヨーゼフ・ボイスの若手アーティストに向けられた「あなたが見た最初の光景を覚えていますか?」という問いから、ストーリーテリングを様々な学問の切り口から考えてゆきます。
問:「あなたが見た最初の光景を覚えていますか?」
第2回
課題図書『わたしを離さないで』から、他者を理解するための枠組みをどこまで広げられるのか思考実験をしてゆきます。
思考実験:「他者の想定」
自分が受け入れられなかった、自分が理解してあげられなかった経験を話す
第3回
1, 2回の講義で学んだストーリーを元に、「自分自身のアイデンティティ」をテーマに座学とセッションを繰り返してゆきます。
第4回
第5回
1-4回で得た知識を元に、複数名で短いストーリーを紡いでゆきます。
物語から自己を見つめ、自己から新しい物語を育んでゆきます。