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ストーリーテリング学

新講義

ストーリーテリング学

人を巻き込み感動させるヒミツ

未来を拓く学部-circle未来を拓く学部
ストーリーテリング学

講義について

私たちはなぜ物語に惹かれるのでしょう?日々受け取る様々な情報の中で、長い間記憶に留められたり、強く印象づけられて思わず人に話したくなるものには、何かしらの物語性が潜んでいます。それは物語の構造が私たちの無意識と直接関係しており、それが私たちの話す言語や、その礎になる神話と結びついているからだ、と本講義の教授である渡辺真也さんは語ります。白鳥の写真は、ユーラシア大陸全土に広がり、輪廻転生を象徴する白鳥伝説を表しています。日本でも白鳥をモチーフにした神話が数多く語り継がれています。

この講義では、物語とは何か?という問いから始まり、神話から人間特有の集団的無意識を掘り起こしながら、情報の集積と物語(ナラティブ)の違いを捉え、分断されているものを抽象的な力をもって繋ぎ、未来に希望をもたらす種をどのようにしたら蒔いていけるのか、受講生との対話を交えながら考えていきます。

なぜいまストーリーテリングが必要なのか?
私たちの身近な問題から考えてみましょう。現在、日本全国どの地域でも人口減少社会対策として地域活性化に取り組んでいます。人口減が引き起こす問題として、地域経済の縮小や地域コミュニティ機能の弱体化が取り上げられ、なんとかして人口を増やそうと各自治体が競い合っています。高度成長期は終わりを告げたにも関わらず、初期設定を覆さず移住するメリットを掲げた横並びの政策で、人口のパイを奪い合うような事が果たして持続可能な未来をつくるのでしょうか?それよりも、急激なグローバル化から自分たちのアイデンティティを守り、その土地固有の物語を紡いでいくこと。経済的な成功よりも、その地域に住まうことにプライドを持つことが真の豊かさに繋がるのではないでしょうか。

ある地域では、都市計画が長期化したために、賛成派と反対派の亀裂が深まりどちらも1歩も譲らないという状況に陥ってしまいました。「良い」とか「悪い」とか、個々の事物をそのものたらしめている根拠を突き詰めていくと、イデアの衝突と分裂が進むばかりで、一元的な統合には向かうのが困難になります。

物語るという能力は、二つの出来事を結び意味を生じさせることです。人にものごとを上手く伝えるには物語が必要であり、二極対立を乗り越え、抽象的なレベルで問題解決を促す力を持つ出来事や事実といった断片を繋ぐことが必要なのです。あらゆる局面で、新たなビジョンを模索している今こそ、ストーリーテリングの重要度は増してきています。

教授、渡辺真也さんについて
日米の大学で経済学を、ニューヨーク大学大学院にて美術を学んだ後、現代美術のキュレーターとして世界各地で展覧会のキュレーションを行いました。31歳から渡独してベルリン芸術大学にて博士論文を執筆後に映画監督になった渡辺さんは、キュレーションの文脈形成と映画のストーリーテリングの類似性に気がつき、初監督した映画「Soul Odyssey – ユーラシアを探して」では、ユーラシア大陸横断中に発見した白鳥伝説を、神話の構造として有名な「英雄の旅」を用いてナレーションすることにより、インドネシア国際人権映画祭にて国際優秀賞とストーリー賞を受賞しました。

この講義では、美学や歴史学をはじめとして、神話学、言語学、宗教学などを網羅した渡辺さんから、私たちの生活を豊かにするための新たなストーリーテリングの方法について学びます。彼の個人的体験やそこから発見したことを中心に、受講者からの質疑応答を交えながら、最終回では、地域の歴史資源を繋ぎ、シビックプライドを形成するための物語をつくる事例も紹介します。自分たちの存在と結びついた新たなストーリーテリングと、人を感動させることとは何かを一緒に学んでいきましょう。

事前に読んできてもらいたいもの
國分功一郎「中動態の世界 ー 意志と責任の考古学」(医学書院)

(第1期募集開始日:2017年7月24日)


講義計画

第1回

物語とは何か、なぜ物語はなくならないのか

物語るという能力は、二つの出来事を抽象的なレベルで結びつける能力です。情報と抽象の違いを理解し、それを紡いで行く事で「わたし」と「あなた」が、一つになるまでの物語を考えていきます。

第2回

神話の誕生 神話が私たちに与える影響

神話が誕生したのは、メソポタミアで使用されたシュメール文字が、表意的な表記から表音的な表記へと移行してからだと考えられています。風や雷など、物体ではない現象を言葉として共有・表現したことで私たちの意識にどのような影響を与えたのか想像するところからはじめます。

第3回

神話がもたらす光と影

物語を共有できる人たちは結びつき、共同体が生まれます。個人を越えた、社会的理想を実現するためにストーリーテリングは有効ですが、人を狂気に駆り立てる危険性も含んでいます。この回では、物語が持つ二面性について考えていきます。

第4回

抽象の力 アーキタイプと連想から物語を綴る

抽象の力とは、二つ以上のものから共通点や類似点を見つけ出す力のことです。共通する点を二つ以上のものから抽象し、それを連想的に結ぶことによって、物語の力が生まれます。この回では、ユングのアーキタイプをヒントに、その連想から生まれる物語について考えます。

第5回

新たなストーリーテリング:地域の歴史資源を繋いで物語をつくる

最終回は、前4回で学んだことをどのように活用するのか、実践を交えて紹介します。地域に眠る歴史資源に光りを当て、100年後にも語り継がれる物語をつくることを目指します。

岡島悦代

キュレーター

岡島悦代

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スケジュール

講義名
ストーリーテリング学
日程

第1回:8月26日(土)10:30-12:00

第2回:8月26日(土)13:00-14:30

第3回:8月26日(土)15:00-16:30

第4回:8月27日(日)10:30-12:00

第5回:8月27日(日)13:00-14:30

定員
20名
申込締切日
8月23日(水)
授業料
28,000円(税込)
キャンパス

表参道みどり荘(COMMUNE 2nd内)

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