・いま、海で何が起こっているのか知りたい人
・海に対して、
・旬を意識した魚を選び、さばけるようになりたい人
・海、魚好きな人との交流を深めたい人
・サスティナブルな魚介類を選んで食べたい人
・次世帯の子どもたちに海洋資源を繋げていきたいと思っている人
日本人がずっと魚を食べ続けるためのアクション
小さな島国ニッポンの海岸線の長さは、世界第6位。なんと大国アメリカやオーストラリアよりも長いのです。つまりは、漁業のできる面積が広大だということ。北からは親潮が、南からは黒潮が流れる、世界有数の豊富な漁場を有しています。
魚介類には、季節ごとに旬があり、各地で多種多様の水産物を味わうことができます。その多くはうまく利用すれば枯渇することなく食べ続けられる、私たち日本人にとって、大事な資源。国内で流通している魚種は約300種類で、他にエビやタコ、貝などを含めればさらに種類は増えます。
本講義では、魚食を軸に、この先もずっと魚を食べ続けられる持続可能な環境や仕組みを考え、学んでいきます。さらに、魚を食べることによって生まれるコミュニケーションや、いのちの循環についても触れ、現場で働いている方を訪問したり、魚をさばいたりしながら、自分の体験として落とし込んでいきます。
かつて、魚のさばき方や料理法は、町の魚屋さんや、おばあちゃん、お母さんが教えてくれました。料理はコミュニケーションツールの一つでもあったように思います。
核家族化や共働きの家庭が増えるにつれ、切り身や骨抜きの魚が重宝されるようになり、工業製品のように扱われるようになってしまった。
魚介類が豊富な日本で、魚らしくない魚が売られ、魚本来の姿や味を知らない人が増えてきていることに違和感を覚えます。魚をさばいて食べることは、古来より受け継がれてきた日本の食文化を取り戻すことでもあると思うのです。
魚の本当のおいしさは、丸ごと、身から骨まで味わってこそわかるもの。魚をさばけるようになることで、いろんな部位を利用でき、刺身、揚げ物、汁物など一尾から数種類の料理を作れるようになります。切り身のパックを買うよりも丸ごと買った方が安い場合が多く、魚選びも楽しくなること間違いなし。また、普段はなかなか食べられない部位を食べられるのも、一尾買いの特権です。
第四回目の講義では、魚をおいしく食べるコツを学び、実際に料理を作ってみましょう。
自らの手で、魚を丸ごとさばくことで、普段はあまり意識することのない生きものの命をいただいていることを実感できます。ヌルヌルして魚臭い、と敬遠している人ほど魚の価値を再発見して面白さに目覚めるはず。料理を通して、口に入るまでの過程を知ることは、魚だけでなく、すべての食物に対しての感謝に繋がります。そして、魚の先にいる漁師や多くの生産者の働きに思いを馳せることができるでしょう。普段はあまり接点のない海や魚の仕事をする方々から、今、海で起こっていること、魚を獲ること、売ることなど、生の声をお聞きし、みんなで、海にまつわることを自分ごととして考えます。
おいしい魚を食べたい、と思ったら、まずは近所に信頼できる魚屋さんを見つけましょう。なければ、スーパーでもいい。ちょっと足を延ばしてでも、足繫く通いたくなるような魚市場や魚屋さんと出会うことで、魚はどんどん面白くなっていきます。どうやって鮮度が良く美味しい魚を選ぶのか、「目利き」を覚えたいという人も、これが一番の早道です。講義では、どうやって魚を選んだら良いのかにも触れていきます。
ようこそ、魚の世界へ
魚は好きですか? 私は、見るのも食べるのも大好きです。
生まれは、群馬県で、二十歳過ぎまではほとんど魚に触れることなく過ごしてきました。食べる魚といえば、ニジマスやアユの淡水魚。海の魚がおいしいと思った記憶はありません。
そんな私が、なぜ魚に目覚め、その世界にのめり込んでいったのか。きっかけはちょっとしたことでした。さまざまな魚と触れ合うこと約20年、その魅力にとり付かれています。
まずは魚に興味がなければ、買う気にも食べる気にもならないと思います。シュノーケラー、ダイバー、釣り師、アクアリストである私のさまざまな体験から、奥深い魚の世界にあなたをお連れします。
魚って、面白いな、おいしいなと思ったら、今度はそれを周りの人に伝えてほしいのです。そうして、あなたに魚を伝える “カタリビト” となっていただくことが願いです。
結果的に、それが海産物や海に意識を傾けてくれる人を増やし、海のためになると信じています。
本講義では、魚をさばく体験や、生産者との交流を通じて、海や魚をもっと身近に感じてもらい、みんなでその未来について考えていきたいと思います。
小さくても一人一人が起こせるアクションを考えていきましょう。
■インタビュー
「魚を楽しんで“まるっ”と味わい。海を慈しむ心を育みたい。」
(第3期募集開始日:2022年8月29日)
・いま、海で何が起こっているのか知りたい人
・海に対して、
・旬を意識した魚を選び、さばけるようになりたい人
・海、魚好きな人との交流を深めたい人
・サスティナブルな魚介類を選んで食べたい人
・次世帯の子どもたちに海洋資源を繋げていきたいと思っている人
・講義の内容はもちろん実際に魚をさばいたり、鮮魚店に行ったりと言った実習もあり、とても楽しかったです。みどり荘永田町でイワシをさばいてお刺身やなめろうにして食べたのがとても楽しかったです。以来、お魚は切り身だけでなく自分でさばこう!という気になりました。魚がもっと身近に感じ、魚の良さをもっと周りにも伝えたくなりました。キュレーター茂木さんがみんなを巻き込んだり、盛り上げたりしてくださり、あっという間にメンバー同士が仲良くなれました。これからもこの授業で出会った魚仲間とのつながりを大切にしたいと思います。
第1回
〇前半:「魚ばなれを食い止めよう」
漁師の担い手不足が叫ばれ、魚を食べない人が増えている。依然、“魚ばなれ” に歯止めがかからない。こんなに豊富な漁場があるニッポンで、魚を獲らない、食べないのはあまりにもったいない。
では、どうすれば魚ばなれを改善できるのか、参加者のみんなで考えたい。まずは、魚のことを多角的に知り、興味をもつことが大切。そして、身をもって、魚はおもしろい、おいしいと感じることが未来へのアクションにつながると信じている。魚へのアプローチ法はさまざま。水族館通はココを見る!玄人的水族館活用法。日本の水族館にみる展示の変遷、群馬県出身の私が海・魚にハマった理由、安心して丸魚を買うための知識、目利きのコツは小顔美人、実はまずい魚はいない(魚がまずくなる理由)、魚を知る一番の近道等。
〇後半:事例紹介「港町の魚屋育ちの釣り女子のアクション」
ゲストは宮本 英実さん(魚女子部・副部長)。釣りをして、さばいて味わう「魚女子部」の体験から、感じたこと、学び得たことを共有します。代々続く実家の魚屋、港町暮らしの実情。いわきで行われている、そしてこれから始まろうとしている海にまつわるプロジェクト、実践している海のためのアクションとは。
第2回
今、海の中では何が起こっているのか。魚を獲ることとは。最近獲れなくなった魚、逆にたくさん獲れている魚は。レジームシフトとは。気候変動との関係性。海洋民族でありながら、海のことは意外と知らない私たち。最も海と近い距離にいる漁師から、海のこと、資源変動について学ぶ。定置網のしくみ。海で魚を獲ってから消費者に渡るまでの流れ。
漁師という仕事(楽しさと厳しさ)、近年見られる雑魚(未利用魚)の活用についても伺う。
第3回
都内からもアクセスのいい浦安に赴き、昔ながらの魚屋店主から、目利き、料理法、保存方法などを教えてもらい、魚を買ってみる。今では数少ない「お客さんを育てる魚屋さん」。
あえて丸のまま魚を売り、お客さんにはそのメリットや調理法を伝授することで、魚を楽しんで買ってもらい、さばける人を増やし続けている。地元の魚屋さんがお客さんにどのような売り方をしているのかにも注目したい。当日買った魚は、第三回目を思い出しながら、家で料理を実践してみよう。
※浦安駅までの往復交通費、魚介類購入費は各自実費になります。
第4回
週末など時間がある時や、特別な記念日にちょっと手間をかけて魚料理を作れるといい。
とはいえ、気合を入れすぎるのもよくないので、手軽に始めたい。例えうまくいかなくても、魚と向き合い、自分で作り上げた一品はよろこびが大きい。そして、それがクセになり、またやりたくなってしまう。
第四回目では、さばくために知っておくとよい魚の体のしくみ、基本の道具、さばく姿勢、生臭さを残さない取り扱い方、ゴミの片付け方などを一通り学ぶ。さばき方をレクチャーしてもらい、旬の魚をさばいて料理を作る。最後は、みんなで味わう。失敗してもおいしく食べる方法も伝授する。さばき方の基本を学ぶことで、今後家族にも喜ばれる魚料理を作れたら、人生豊かになると思いませんか。
※調理実習ワークあり。動きやすい服装でお越しください。
※魚代が、一人1,000円ほどかかります。
第5回
これまでの4回から学んだことを踏まえ、魚ばなれを改善するためには、どんなことができるか、海のためにできるアクションは何か、ディスカッションする。また、周りの人に何を伝えていきたいか、伝えるためにはどうしたらよいかについても話し合う。
本講義は、魚食を核にした構成となっていますが、海の中を泳いでいた魚がどのようにして消費者である私たちに届いているのかを再確認し、その上で問題点を把握、改善策を考える講義でもあります。魚ばなれとなる原因を身近なところからでも解消していけるような自分なりのアクションを一緒に考えていきましょう。
身近な人にさかなの魅力を伝える「さかなライフのカタリビト」になるのがゴールです。