・哲学・倫理学に関心がある人、政治哲学、教育哲学、公共哲学に関心がある人
・社会や政治、教育について考えたいけど、考え方がわからない人
・社会や政治、教育ってそもそも何なのか、自分とどう関係があるのか考えたい人
・知識やデータ、統計よりも哲学的な思考や考え方、哲学対話を体験したい人
公共哲学から考えるもっと自由な世界
自分のことは自分で決めていい――でも、みんながそうしたら社会はめちゃくちゃにならない?
隣の家に住んでいる人、近所のコンビニの店員。関係ないから関わらなくていい――でも、本当に自分と関係ないっていえる?
子どもは好きなこと、得意なことを伸ばしたらいい――でも、教育って本当にそれだけでいいんだろうか?
市民としての自覚が大切――でも、政治や社会への参加や関心って強制されなければいけないの?
こうした問題は、私たちの日常に深くかかわっているにもかかわらず、簡単には答えが出ない哲学的な問題です。
「公共的な空間とは、人々が、自分が誰(who)であるかをリアルで、しかも交換できないような仕方で示すことのできる、唯一の場所だった―――。」
これは、政治理論家ハンナ・アレントの言葉です(『人間の条件』65頁)。アレントは、「公的な空間」を「人々が、互いを明らかにしあうような生き生きとした空間」として描き出しました。
「社会や政治、教育、地域といった“公共的なもの”に関わったり、それを考えたりすることは大切」となんとなく思いつつも、自分が社会で生きているという当事者意識は、そんなに持てない。そんな人も多いかもしれません。かかわらなくても、考えなくても、当たり前に過ぎ去っていく政治や社会の問題。ただただ押し寄せてくる外の世界に対して、私たちはつい無関心になりがちで、なかなか「自分ゴト」にできずにいます。
公共性、社会、教育、政治――当たり前のように使われているこれらの言葉の意味。本当のところは、誰もよくわかっていないのかもしれません。
でも、社会で生きている以上、政治の問題、自分の問題、そして大切な人の問題は、自分で考えたいと思いませんか?この講義で、ちょっと人とは話しにくいけど、公共的で重要な問題を改めて問い直してみませんか?
「社会にかかわる」とか「政治に参加する」というと、討論をしたり、選挙に行ったり、デモを行ったりするというイメージがあるかもしれません。けれどもこの講義では、政治や社会の本来の意味に立ち返り、「他者と共に生きている」「自分とは違う人がいる」「人と人とが関わりあう」というところから考えます。
この講義の中心は「みんなで考えること」、「みんなで哲学すること」です。つまり、「対話」すること。そして対話には、「公共性」が既に生まれています。この講義の目的は、具体的な政治制度や教育制度、選挙や政治家の話を詳しく扱ったりすることではありません。他者とともに、これからの社会をつくるための公共性の根源的な部分を哲学的に考えることがこの講義の目的だからです。
講義では、公共性を考える上で役立つ哲学や政治・教育理論の簡単な解説を行います。講義の前半約30分で、テーマに関連する哲学の知識や議論に簡単に触れ、その後、それをもとに、対話を通じてみなさんの思考を深めていく「哲学対話」を行います。哲学対話とは、参加者の皆さんが自分の考えを自由に発言する場です。事前に哲学の知識は必要ありません。
知識よりも、自分たちで考えていくことによって答えをつくりあげていく、そんな講義にしたいと考えています。「社会」って?「政治」って?そんなに難しく捉えなくても、他者とうまく付き合っていくには、どんな事から考えたらいいのだろう。
そういうところから、一緒に哲学、そして対話をしませんか。
(第3期募集開始:2019年3月15日)
・哲学・倫理学に関心がある人、政治哲学、教育哲学、公共哲学に関心がある人
・社会や政治、教育について考えたいけど、考え方がわからない人
・社会や政治、教育ってそもそも何なのか、自分とどう関係があるのか考えたい人
・知識やデータ、統計よりも哲学的な思考や考え方、哲学対話を体験したい人
・既存の政治的な考え方にとらわれずに、考えていくことができる
・自分の身の周りから、よりよいコミュニティづくりができる
・社会と自分の繋がりを再発見できる
・近所の人とすれ違ったとき、温かい気持ちになれる
・一つの言葉、一つの概念について、より奥深く考えられるようになりました。他人の意見を聞くことで、新たな気づきや視点が生まれた気がします。
・哲学的な重要なテーマの論点を意識するようになりました。
第1回
はじめに自己紹介、講義の説明、哲学や哲学対話の簡単な解説を行ないます。そして第一回は、自由について考えます。自由をめぐる諸問題は政治や社会の核となる部分です。私たちが他者と付き合っていくとき、「私の自由」と「他者の自由」はどのように折り合いをつけるべきなのでしょうか。簡単な講義のあと、参加者全員で哲学対話をします。
第2回
私たちが社会で他者と付き合っていくとき、「私の正しさ」だけではなくて、「公的な正しさ」が問題となります。公的な意味での正しさとは、どのように決められるべきなのでしょうか。この難問について考えるため、いくつかの学説について簡単に学び、参加者全員で哲学対話をします。
第3回
よく、「市民としての自覚をもって生きることが大切」などという表現を耳にします。しかし、そもそも市民であるとはどのような状態のことなのでしょうか。市民であることは、私たちの生活や幸せとどのように関係しているのでしょうか。簡単な講義のあと、参加者全員で哲学対話をします。
第4回
私たちは誰でも様々な共同体に属し、そこから影響を受けています。私たちはそれと、どのような関係や距離を保っていればよいのでしょうか。共同体に、私たちが「何を愛するか」、「何を評価するか」といった生き方の部分まで規定されることは、よくないことでしょうか?従いたくない時は?抜け出してしまいたいときは?簡単な講義のあと、対話します。
第5回
教育と政治・社会は非常に密接にかかわっています。国家を成立させ維持していくために、どのような教育を国民に施していくかは、常に大きな問題であり続けてきました。しかし、そこまで話を大きくするまでもなく、次の世代に何を伝え、教えるべきかという問題は、極めて身近な問題でもあるはずです。簡単な講義のあと、参加者全員で哲学対話します。