「自分起点の興味関心から、小さく始めて、長く続けよう」
この講義は、起業初心者が各自のビジネスアイデアを具体的に育てる、アウトプット重視型の6ヶ月コースです。
混沌の時代こそ、自ら人生の舵を取る「アントレプレナー」に
「仕事が楽しい」と思えるか。
「生活費のため」と我慢してやり過ごすか。
それによって、人生の質は大きく変わります。たしかなのは、どちらを選ぶかは「自分で決められる」ということ。もしワクワクする仕事がなければ、自分で創り出す力があなたにもあります。
先が読めない混沌の時代には、一人ひとりが自分の人生の舵をとる「アントレプレナー精神」を持つ必要があるのではないでしょうか。組織に頼らず、自ら仕事を生み出せる能力を身につけて、混沌を切りひらくリーダーが求められています。
これからの日本においては、人口減により経済的に右肩下がりになっていく時代。既存事業の多くは縮小を余儀なくされています。既存の大組織に乗るのもいいけれど、自ら新しい事業を生み出すほうが、社会的にも意義のあることではないでしょうか。
ビジネス環境としては年々、起業しやすくなっています。インターネットやスマホが十分に普及し、通信コスト・移動コストが劇的に下がった上に、多様な価値観が受け入れられつつあります。
クラウドファンディングで資金や仲間を募ったり、オフィスもシェアで安く借りられたり、オフィスがなくてもリモートで仕事を進められたり。初期投資の大きな店舗がなくてもオンラインで売れたり、課金システムなど便利なサービスも安価で使える。工夫次第でコストを抑え、効率的に立ち上げることも可能になりました。
好きなことに、好きな仲間と、思い切り打ち込む
組織に頼らず生きる社長の日々は
「答えのない問い」の連続だから
「そうだ、独立して商売をしよう」
起業心が芽生えても、社長ならではの課題もあります。それは学校や会社と違って「誰も答えを教えてくれない」ということ。
起業というと、「これからは何が当たるのか」と聞く人が多いですが、未来は専門家でも予想がつかないもの。いかに難しいかは、昔のビジネス雑誌を調べてみるとわかります。
例えば、30年前、こんな特集が載っています。
「ワープロは、いずれなくなるのですか?」
業界各社の回答を、今読むと思わず笑ってしまいます。
キヤノン:「ワープロがパソコンに取り込まれることはないでしょう」
東芝:「そんなこと誰が言っているのですか。パソコンとワープロはこれからますます共存共栄していきますよ。今はワープロとパソコンの台数がほぼ同数ですが、将来的には、ワープロ10に対してパソコン1ぐらいの割合になると思います」
富士通:「たとえば車の会社を考えてみてください。セダンをワープロとすれば、パソコンはトラックに相当します」
松下電器:「5年前、パソコンの普及台数は100万台、今は120万台と伸びはゆるやかです。一方、ワープロは30万台が280万台にまで伸びています。この数字を見ただけでも、パソコン社会よりワープロ社会到来の方が早いと考える材料になります」
NECもシャープも同じ回答です。その道のプロが真剣に考えても、全社がことごとく予想をハズしている。
いまメディアで確定路線とされている「未来像」を鵜呑みにするのも早計だということです。ただ、時代の変化の隙間から新しいビジネスチャンスが生まれることだけは確か。
あなたは、いま「常識」と言われている枠組みを疑うことができるでしょうか。自分自身の頭をつかって「なぜ」「どうして」と思考を続ける。仮説を立てて、小さくテストをくり返し、手探りで売れる新商品を練り上げていくことが起業家の仕事です。
先輩起業家たちは誰しも、自分なりの知恵と工夫を凝らして、壁を乗り越えています。会社員であれば上司が手取り足取り教えてくれますが、いざあなたが社長となると、正解を教えてくれる上司はいません。
「答えがない問い」に対して、正解があるかどうかもわからないし、正解が複数あるかもしれない。自分で考え、期限内に決断を迫られます。
・起業したいが「これだ」というアイデアがない。or あるけど1つに絞れない。
・この事業アイデアに賭けていいのか。将来性はあるのか。
・リリースするタイミングはいつがベストなのか
・一人で始めるか、チームか。組むとしたら人選方法は?
・チームが必要だが、適任者に出会えない
・自己資金か、借金していいのか
・業界に疎いのに、メンターがいない
・いい商品のはずなのに、使ってもらえない。ユーザーが減っていく。
・仲間のモチベーションが下がってる、どうする?
・大手に真似されて、売上が激減した
・お客さんからクレームが来てしまった…
荒波に漕ぎ出す小舟のように、数々のピンチに遭遇しますし、リーダーとしてそれらに即座に対応していかなければなりません。底に空いた穴は塞がなければ沈没してしまいますし、悠長に先延ばしにする余裕もないのが現実。
組織に頼らず独立して生きていくことは、決して「楽」ではありません。けれども、人生が「楽しくなる」選択肢だと経営者の多くは語ります。
小さな実験をくりかえし、新しい商品をつくっていく。遊びから学び、仕事につながっていくプレイフル ・スパイラルが起きている。
興味関心を起点に、個性を活かして商売を成立させる
「プレイフルな起業」のすすめ
話題になった書籍『ファクトフルネス』でも主張されていた通り、社会は確実に進化し、豊かになりました。特に、生まれたころから何もかもが揃っていた豊かな若者世代の多くは、「金銭」や「地位」のためだけにはハングリーになれないもの。「楽しいか」「共感できるか」「クールか」「人が幸せになるか」というのが最大のモチベーションです。
ひと昔前は、好きなことを自由に探求できるのは、一握りの裕福な道楽者、趣味人の特権でしたが、今は違いますね。これを「興味関心主義」「プレイフル・エコノミー」と教授の西村琢さんは呼んでいます。
時代は大きく動いているのだから、その変化の周辺には新しい仕事が生まれるフロンティアが広がっています。その広場で、遊びを始めるのは若者の役割。街を見渡しても、流行の起点は若者ですね。旺盛な好奇心、遊び心から時代の潮流が始まります。
最初は消費活動としての遊びが、生産活動としての遊びになっていき、遊びから文化が生まれ、文化の創造者になっていく。そうやって、少しずつ社会が成熟していきます。
今では当たり前の選択肢となってきた「体験ギフト」も、ソウ・エクスペリエンス以前には日本に存在しなかったサービスです。贈り物といえばモノでしたが、「体験を贈る」という新しい文化を根づかせています。
「そんなビジネスが成立するの?」と大企業のスーツのおじさんたちが目を丸くするような先入観にとらわれない発想は、遊び心から生まれます。
「どうしてこれがないのだろう」
「あった方が面白いのに」
ピュアな問題意識を大切にしてください。それが起業の種になります。
例えば、今の時代に「コーラをつくって起業する」と言ったら、かたいビジネススクールでは鼻で笑われるかもしれません。「コカコーラもペプシもあるのに、そのマーケットに新規参入できるわけがない」でも、別に競合してマーケットシェアで勝とうと思っているわけではありません。ただコーラへの興味のままに研究して、自分独自のレシピを作ってしまった。自慢できるほど美味しくできたから「すごいでしょ」とみんなにも飲んでもらいたいだけ。こういうノリで実際にクラフトコーラ専門店を成り立たせている人たちもいます。
ぬいぐるみ専門の旅行会社など「ぬいぐるみに旅行させる? それにお金を払う意味がわからない…」。固い頭の常識からは決して出てこないユニークな発想です。
20歳の若者が路上で靴磨きを始めて、青山に店舗をかまえるまでに成長した靴磨き会社もあります。「靴磨き職人などかっこ悪いし辛いし儲からない」と敬遠されていたものを、今では志望者が列をなすくらいに「カッコイイし儲かる職業」に変えました。
誰しも「個人的な体験」や「一人称の物語」があり、自分が大切にしている価値観、信じられる仮説、愛する対象がある。そういう自分ごとの「興味関心」から、商売をはじめるのが今の時代です。
アウトプットしないと世界は動かない。
足元から小さく始めて、楽しく長く続けるために
この講義では、知識を教えるよりも、半年間でひとまず今できることを小さく始めて、PDCAを速く回転させるアクションを大切にしています。初期コストをかけずにスタートすればリスクはないし、会社勤めをしながら、自分のビジネスを起業している人もいる。賢く他力を借りることも必要です。
起業したいなら、アウトプットしないと世界が変わらない。
最初は必ず失敗しますが、それは creative failure(創造的失敗)です。実際にやって「なるほど、あの本に書かれていた意味はこれだったのか」と、体験して初めて自分で気づくことが重要。やってみて新たに疑問が湧いてきたり、いやもっとこうしたらというオリジナリティが出てきます。結局、実践から手にした学びしか血肉にはなりません。
創業前夜にいる方、すでに起業している方が集まり、ともに学びを深め、個性を強みにしてそれぞれが次のステージに挑戦していきましょう。
講義では、あなたの起業アイデアを一緒に練り、精度を高めていきます
<教授 西村琢さんより>
「自分が提供する価値は、つまり何なのか」
起業の道を歩む同志と一緒に考え、伴走したい
私たちが日々の生活で触れる、あらゆる商品やサービス。その多くは、企業またはどこかの個人が生み出し、提供しているものです。僕は高校生の頃に始めた株式投資を通じてその事実に気づき興奮しました。それ以来、ビジネスや起業に強い興味関心を抱き、大学卒業直後の2005年に22歳で会社を立ち上げました。
「体験ギフト」の企画販売を手がけるソウ・エクスペリエンスを起業して14年。山あり谷あり、いろいろな経験をしてきました。
「今の知識をもって、もし14年前に戻れたら、何倍もうまくやれているはず」
そんな自信もできてきたので、次の世代をサポートしたいと思うようになりました。
一口に「起業」と言っても、形態や目指す規模感はさまざまです。
新たな商品サービスを提供し未来を切り拓くスタートアップの起業はもちろんですし、飲食業にチャレンジしたい、キッザニアのようなユニークな体験ができる施設を作りたい、はたまたフリーランスとして独立したい…
この講義では、それら全てを広義の「起業」と捉えています。
「家」にもワンルームマンションがあれば豪邸もあり、木造の家もあればRCや土壁の家まで様々であるように、起業という言葉も本来とても多様な意味を含むのではないかと思うからです。
でも、一見多様な「家」も、すべて「人々の住処」である点だけは一貫していますよね。広義の「起業」も皆さん自身や皆さんの会社の生み出す価値、それを人や会社に提供するという点では共通していますし、「その価値をどう定義するか」が最も大事なポイントだと考えています。みんな大好きチキンラーメンやスーパーカブはもちろんですが、いつも羽振りの良さそうな個人事業主も、きっと誰かに何か継続的な「価値」を提供し続けているのです。
そんな価値を定義し、相手がお金を払いやすい商品・サービスの形態に落とし込むこと、そして実際に仕事を回し始めること。講義期間中にどこまで進められるか、それは人それぞれかと思いますが、皆さんが歩むそのプロセスを伴走させていただくつもりです。
講義では、少人数のクローズの空間だからこそ可能な、裏表のない起業のリアルを泥臭い部分もお伝えします。皆さん自身のプロジェクトも聞かせていただき、積極的にディスカッションしたい。やるからには真剣に後押しします。
⇧ TV東京「カンブリア宮殿」出演時。座右の銘は「笑う門には福来たる」
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(第1期募集開始日:2019年8月5日)