・金継ぎを趣味から仕事に発展させたい
・ゆくゆくは金継ぎ師として活動していきたい
・伝統の漆文化を初心者に教えたり、世界に伝えていきたい
・金継ぎ(簡易を含む)を何度かやったことがあり、さらに本格的なステップに進みたい
・日本の漆文化に貢献するための新しいビジネス展開を考えたい
※金継ぎ未経験者の方には、難易度が高いです。
新講義
伝統の漆文化を継ぎ、美しい景色を世界へ。金継ぎ師養成プログラム
あなたも金継ぎ師を目指そう
金継ぎ経験者のみなさんが「金継ぎ師」への一歩を踏み出すための講義です。
器を繕う楽しみを「趣味から仕事に」する上で直面する課題をクリアし、技術と芸術性への理解をアップデートしていきましょう。金継ぎの歴史から伝統的な技法、芸術性にいたるまで、全5回で体系的に学びます。漆工の蒔絵から派生した日本古来の本格的な技術を、京都や北陸の漆のスペシャリスト、金継ぎ師の方々から直接学びませんか。
<3つのプロセス>
1. 歴史と背景の理解:金継ぎの歴史や文化的意義を深く掘り下げます。
2. 伝統技法の習得:高度な技法やコツを、座学と対話、実習を通じて学びます。
3. 芸術性の追求:美しい「景色」を創り出すためのデザインと美学を探求します。
漆器と九谷焼の産地、石川県の工房で金継ぎをするなかおかさん
再生の美「KINTSUGI」を未来に
「壊れ」の中に新たな美を見出す。日本の金継ぎ文化がいま世界で注目されています。大量消費の時代に、物を大切にする精神として。あるいは、壊れた器に人生を投影し、傷を否定せず受け入れる再生のプロセスとして。SDGsや国際平和を求めるスピーチにも、比喩として「KINTSUGI」の精神が引用されるなど、金継ぎが世界的ブームとなっています。
伝統文化を継ぐ
金継ぎは、漆芸の手法のひとつ。そのため、伝統的な金継ぎをマスターするには、漆芸から学ぶプロセスが必要です。漆器は英語で「japan」と称されるほど、日本を代表する伝統工芸。しかしながら、その裏で産地の継承者不足など課題は多く、未来に明るい展望は描けていません。せっかくの知恵と伝統文化を絶やしてはいけない。自由大学として、本当の技術を受け継ぐための機会をつくれないだろうかと考えました。
海外で開催した金継ぎワークショップ風景。日本の漆芸文化は世界で注目されている
独学の壁を超えるために
本やYouTube動画で、なんでも独学できる時代です。しかし、趣味を超えて仕事に、さらにゆくゆく金継ぎ師として活動しようと思ったら、独学だけでは乗り越えられない壁に直面します。例えば、接着のずれや、のり漆の使い方、磁器と陶器の違い、汚れが染みになってしまう… などの課題はありませんか? 他者の大切な器を預かるには、依頼主の期待に応える高い技術と知識のみならず、責任感やコミュニケーション力が求められます。
産地のメンターから直接学ぶ
教授として、京都と北陸の産地から指導者をお呼びしました。漆器や九谷焼の産地である石川県で金継ぎ師として活動するなかおかようこさんや、創業100年を数える「漆のスペシャリスト」である佐藤貴彦さん、伝統の漆工芸を代々ビジネス展開する山本泰三さん。
歴史ある京都の漆工房、佐藤喜代松商店
芸術性と修復技術の探求
金継ぎは「修復技術」でありながら、「芸術性」まで探求できる奥深い世界です。基本的な修復技術の習得から入り、美しい「景色」を作り出す芸術性も見据えていきましょう。器の声に耳を澄まし、その器がどう直されたがっているか対話し、依頼者の思いに「添う」姿勢を大切にします。器に添い、依頼者に添うことができれば、一人前です。
金継ぎ師への一歩を踏み出そう
この講義は、趣味を超えて金継ぎ師として活動していきたい意欲に応えるために企画されました。「なおす仕事」や金継ぎの講師、アーティスト活動、漆や金継ぎを活用した新しいビジネスの創出など、目指せる未来像はさまざまです。卒業後は産地とのつながりを得て、あなたの活動の幅も広がるはず。金継ぎを起点に、日本が誇る漆芸文化を未来へ継いでいきましょう。
柔らかな質感にどこまで力をかけて大丈夫なのか、漏れがないように、漆が滲まないように試行錯誤する。萩焼のぐい呑み(本金継、なかおかようこさん)
(第1期募集開始 2024年7月29日)
・金継ぎを趣味から仕事に発展させたい
・ゆくゆくは金継ぎ師として活動していきたい
・伝統の漆文化を初心者に教えたり、世界に伝えていきたい
・金継ぎ(簡易を含む)を何度かやったことがあり、さらに本格的なステップに進みたい
・日本の漆文化に貢献するための新しいビジネス展開を考えたい
※金継ぎ未経験者の方には、難易度が高いです。
各回3時間の講義の中で、座学と実技を行います。限られた時間ですから、すべての修復作業を講義内に取り組むことはできないかもしれません。
ご自分の金継ぎ作品を持ち寄り、各自の次のステップや課題解決方法を教授がお伝えするので、自宅で進めてみるようにしてください。
各自、必要な材料を入手し、能動的に調べてみる基本姿勢を大事にしながら、わからないことは教授になんでも聞いてください。
第1回
金継ぎの技法の大元である漆芸の歴史や、蒔絵の歴史まで遡りながら、室町時代頃から金継ぎがどのように始まったのかを説明します。江戸〜明治初期の「焼き継」や「鎹止め」の見本をもとに、器を継ぐ歴史がどのように変遷していったか、焼き物の歴史や茶道にも触れつつ解説します。また、現代における金継ぎの意義とその発展についても紹介します。
ディスカッション: みなさんの金継道具、金継作品を持ち寄って、そこに現れる設計思想を読み取ります。各自の「現在地」と「目指す地点」の確認と共有を行い、技術的にどこに課題があるのか、何が満足できていないのかをディスカッション。各自の次のステップへの方向性を示します。
実技:素地の見極めと前処理、接着面の整え方と仕上げ方法について実演します。例えば、前処理だけでも多岐に渡ります。ルーターでの溝切り、汚れの落とし方、養生の仕方、接着剤の綺麗な剥がしかた…など。
第2回
日本の漆芸の歴史と基本知識を学びます。蒔絵と金継ぎの関連性、伝統的な金継ぎ技法の解説をします。漆器の工程と材料・道具、蒔絵の工程と材料・道具、金粉の種類と用途、その他の金属粉について学びます。漆のスペシャリストによる漆の科学的レクチャーとして、日本産漆と海外産漆の違い、漆の精製と種類による表現の違いについて説明します。
実演&実技:漆の種類、漆に混ぜる粉の種類、漆を配合する方法について。少量での精製方法を実演し、生漆からスグロメ漆、弁柄漆への加工や、焼き漆の作り方と乾燥調整
第3回
難易度の高い形や素材に応じた繕い方を学びます。磁器と陶器の違いや、萩焼や粉引きの器の修復方法、よくある修復の失敗とその対策について考えます。金継ぎの修復技術をさらに高めるには、漆への深い理解が欠かせません。
実技:具体的に破損した器を用意し、それぞれの課題に応じた修復方法を実演します。参加者全員で修復のアイディアを出し合い、最適な仕上げ方法を考えます。割れや欠け、ひびの修復技術を実際に体験しながら習得します。
第4回
金継ぎの芸術性と価値はどこで決まるのか。美しい「景色」を作り出すためのデザインと美学、日本の美意識をどう芸術面に反映するか学びます。伝統の技術で魅せるモダニズム、現代アートにおける金継ぎの応用、金属粉の種類とその特徴、経年変化と仕上がりの比較、見立てによる仕上げについても考えます。色漆をどのように芸術性に反映させるのか等、漆とデザインの関係を深掘りしましょう。
実技:色漆による仕上げ、金属粉を用いた仕上げを実際に体験し、美しい「景色」を作り出す技術を習得します。
第5回
金継ぎのプロとして活動し仕事にしていくには、どんなアプローチがあるのでしょうか。自分の志向性に合った仕事のつくり方や依頼主とのコミュニケーション方法。金継ぎや漆文化を国際的に普及する道筋とその未来について。世界で金継ぎがどのように捉えられ、国内外で近い未来に何がビジネスチャンスとなるか考察します。
発表:受講生からの発表。講義期間中の作品の進化や研究を共有し、フィードバックを受けます。また、金継ぎを仕事にするための具体的な展開プランを発表し、フィードバックを今後の活動に役立てましょう。