他者の語りに耳を傾け、変わりゆく社会に自らをひらく
いま多くの人々が閉じこもり、いたるところで停滞や分断が進んでいます。もしオープンに聞く耳を持つことができれば、新しい視点を得て、先へ進むことができる。ひとりでは絶対に見つけられなかった景色にだって、たどり着けることでしょう。
触媒となり、人と人をつなぐ架け橋となる。よい聞き手が増えれば、世界はもっとなめらかで、カラフルな発見に満ち、面白くなります。さあ、いっしょに聞く技術を身につけ、社会を豊かにする一歩を踏み出しましょう。
インタビューと一言に言っても、メディアが取材のために専門家へ話を聞いたり、企業が顧客のニーズをヒアリングするなど情報収集目的のものから、面接など評価の場で用いられるものまでさまざまです。
この講義では「取材相手の魅力を引き出す」インタビューにフォーカスし、質問を通して取材相手の魅力を聞き出す方法を学びます。取材相手自身も気づいていない魅力を引き出し、世の中に伝えることだってできるのです。
コミュニケーション下手でもインタビューはできる
インタビュアーやライターなどの仕事についていなくても、「聞く」ことのニーズは高まっています。質問を通して情報を引き出したり、相手を理解する場面はたくさんあるからです。
しかし、「人見知りだから」「親しくない人と話が続かない」など、インタビューに苦手意識を持つ人は少なくないようです。ただ、インタビューはフリートークではありませんし、いきなり「はじめまして」で話すわけでもありません。充分な事前準備・予習の時間があります。基本の型を身につければ、不安なく相手と向き合えるようになるのです。
話し下手ほど「取材相手の気持ちがわかる」強みがあります。インタビューは受ける側も緊張しています。相手の心を開き、話しやすい状態をつくるための振る舞いを考える際に、「話しにくい」「居心地が悪い」と感じた経験が役にたつはずです。
深く知ろうと耳を傾ける、心情を想像しながら一緒に言葉を探していく
「この人の話を聞きたい」が何より重要
基本の型やテクニックは、インタビュアーに必要な武器の一つにすぎません。インタビュアーにもっとも大切なのは「相手を知りたい気持ち」です。さらに、「この人の魅力をたくさんの人に知ってもらいたい」という思いが原動力になります。
そのためにはより多くの人にインタビューをして、失敗と反省を繰り返しながらアウトプットをすることが不可欠です。相手のことをどこまでも考え続け、もっと深く知ろうと耳を傾ける。想いをじっくり聞いて、心情を想像しながら一緒に言葉を探していきます。
インタビューをしたことがない方にとって、この講義は実践の場になります。インタビュー経験がある方にとっても、「人の魅力を引き出す」ことを軸に、自分のスキル・アウトプットを見つめ直す機会になるはずです。
今回、最終講義までに実際にインタビューをおこなっていただきます。実践を通した気づきは何物にも変え難い学びになるでしょう。
対話することで、ひとりでは見つけられなかった発見に出会える
キュレーターむらかみみさとさんからのメッセージ
大学生だった18歳の頃から、細々とインタビューを続けて20年ほどになります。これまで100人以上に話を聞いてきましたが、いまだに「いいインタビュー」の正解はわかりません。はじまる前も、記事ができあがった後も毎回不安です。
でも、インタビュー記事が公開されることで、「友人が久しぶりに連絡をくれました」「お客様がきてくれました」といった声を聞くと、こんなに素敵な仕事はないと思います。そのたびに「もっといいインタビューができるようになりたい」と感じるのです。
また、インタビューは、相手を通して自分の知らない世界を知ることができるワクワクする仕事でもあります。
一方で、インタビューを学ぶ場というのは多くありません。インタビューテクニック、プロとして食べていく方法、企画やアポ取りなどの手段……。さまざまな切り口はありますが、この講義は「人の魅力を引き出す」ことにフォーカスします。「この人の魅力を伝えたい」と思うことが、いいインタビューになる第一条件。そのためにどんな準備をすればいいか、ユニークなポイントの見つけ方、魅力を引き出す質問の仕方などを実践を通して学んでいきます。
インタビューは芸能人やスポーツ選手、経営者など、有名人相手におこなうだけではありません。私がこれまで話を聞いてきたほとんどの方は、いわゆる市井の人々です。会社員、小さなお店を営む人、仕事をしていない人や子どもも、語るべき物語を持っています。インタビューは「この人の話を聞きたい」「考えや存在を知って欲しい」と思えば、誰だって対象になるのです。講義を通してインタビューの魅力、楽しさを感じてもらえたら嬉しいです。
(第1期募集開始 2024年7月23日)